2008 Fiscal Year Annual Research Report
立体特異的水和反応を利用した新しいバイオポリエステルの合成
Project/Area Number |
08J06848
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 俊 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高分子合成 / 環境材料 / 酵素反応 / バイオポリマー |
Research Abstract |
本研究では、環境にやさしいプラスチック材料として注目されているポリヒドロキシアルカン酸(PHA)の構造制御可能な合成法の確立および新しいモノマー成分から成るPHAの合成について検討している。PHA合成におけるモノマーを合成する酵素R-ヒドラターゼに注目し、本酵素を利用して試験管内および微生物細胞内で新しいPHAの合成系を構築、それらを利用して合成されるPHAの1次構造制御および新しいモノマー成分の導入を試み、得られたポリマーの物性評価を行う。 本研究の第1年度目では、初めに酵素反応によるPHA合成反応系の確立を行った。R-ヒドラターゼによるモノマー[(R)-3-ヒドロキシアシル補酵素A(CoA)]合成反応の転化率を調べ、短鎖基質に対して転化率90%以上、中鎖基質においても60%近い転化率でモノマー合成反応を触媒することを明らかにした。続いてこの反応生成物にPHA重合酵素を作用させることで、分子量5万から400万の高分子量体PHAが合成されることが分かった。また、R-ヒドラターゼの基質であるエノイルCoAを反応系内で有機酸から合成するため、trans-2-アルケン酸とCoAを結合させるアシルCoAシンテターゼを新たに導入した。反応系内で有機酸からPHAを合成する反応系を構築し、炭素数8のモノマーからなるポリ(3-ヒドロキシオクタン酸)ホモポリマーを合成した。この反応系を利用して、現在新規モノマー成分から成るPHAの合成を試みている。 次に、組換え微生物によるPHA合成反応系の応用と評価を行った。上記の酵素合成反応を組換え微生物細胞内で人工的に構築し、合成されるPHA組成制御を試みた。組換え微生物を有機酸と糖で培養することで有機酸の代謝反応を抑制し、かつ組換え発現させたPHA合成経路によりPHAホモポリマーの合成を検討した。その結果、中鎖脂肪酸の1つである炭素数10のデカン酸を用いた場合、同じ炭素骨格から成る3-ヒドロキシデカン酸を99mol%含むPHAが合成されることを本研究で初めて明らかにした。また、このポリエステルを微生物細胞から抽出および精製し、分子量および熱的性質を明らかにした。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Polyhydroxyalkanote Film Formation and Synthase Activity During In Vitro and In Situ Polymerization on Hydrophobic Surfaces2008
Author(s)
Sato, S., Ono, Y., Mochiyama, Y., Sivaniah, E., Kikkawa, Y., Sudesh, K., Hiraishi, T., Doi, Y., Abe, H., Tsuge, T.
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Journal Title
Biomacromolecules 9
Pages: 2811-2818
Peer Reviewed
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