2008 Fiscal Year Annual Research Report
非線形偏微分方程式の解析を利用したハミルトン力学系の研究
Project/Area Number |
08J06856
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
曽我 幸平 Waseda University, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Hamilton力学系 / KAM理論 / Aubry-Mather理論 / Hamilton-Jacobi方程式 / 粘性解 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
Hamilton力学系の中心的問題の1つとして、「不変トーラスを探す研究」が古くからなされている。1950年代に登場したKAM理論は、摂動を受けた可積分系に対して、不変トーラス(KAMトーラス)の存在を保障する。KAM理論は一種の摂動論であるため、その適用範囲は限られる。1980年代に現れたAubry-Mather理論は、twist写像力学系に対して、不変トーラスに似た不変集合(Aubry-Mather集合)の存在を保障する。後にAubry-Mather理論はflow系に拡張された。これは変分法に基づいており、KAM理論とは異なる土台で展開される。 不変トーラスの存在は、あるHamilton-Jacobi方程式の古典解の存在に対応している。一方、Hamilton-Jacobi方程式は一般には古典解を持ち得ないため、粘性解と呼ばれる弱解が考案されている。自然な問題として、KAM理論及びAubry-Mather理論とHamilton-Jacobi方程式の粘性解理論の関連を明らかにする必要がある。最近この分野は著しい進歩を続けている。その主流は変分法に基づく解析的な抽象論である。 我々は2008年度を通して、この分野に数値解析的手法を与え、コンピューターによる数値シミュレーションを容易に行う方法を提案した。対象は2自由度Hamilton力学系で、これに対応するKAMトーラス・Aubry-Mather集合・Hamilton-Jacobi方程式の粘性解を差分法で構成した。特別な粘性解の構成が最大のポイントになるが、これはHamilton-Jacobi方程式を双曲型保存則に帰着させ、Lax-Friedrichs差分法において長時間挙動又はNewton法を利用することで可能となった。
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Research Products
(1 results)