2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J06882
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
貝塚 公一 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 対称空間 / 擬微分作用素 / 平滑化効果 / 超局所解析 |
Research Abstract |
非コンパクト型対称空間上の球対称定係数実主要型擬微分作用素に対する時間大域的平滑化評価について考察した.一般に,シュレディンガー発展方程式を代表例とする分散型方程式は有限伝播性を持たず,解の特異性が主表象から生成されるハミルトン流に沿って,速度無限大で伝播する.ハミルトン流がコンパクト集合に捕捉されない場合,時間平均を取ることで解の滑らかさが初期値よりも上がり,平滑化効果と呼ばれる現象が起こる.ユークリッド空間上の分散型方程式に対する時間大域的平滑化評価については,様々な先行研究があるが,より一般の,非コンパクト完備リーマン多様体上で同様の評価が成り立つか,ユークリッド空間との違いがあるかについては,ほとんど知られていない. 本研究では,Helgasonにより定義,整備された対称空間上のFourier変換とRadon変換を用いる事で,実ランク1の非コンパクト型対称空間上で時間大域的平滑化評価を得る事が出来た.又,実ランクが一般の場合にはRadon変換の楕円性が成り立たず,別の議論が必要になる事がわかった.修士論文で得られた結果を整備,一部拡張し,論文を執筆し査読付きの雑誌に投稿した. 又,対称錐上の大域的擬微分作用素の理論を習得した.一般の非コンパクトな対称空間上では,大域的擬微分作用素の理論はまだ無いが,対称錐上では,Jordan代数の構造を生かした大域的擬微分作用素の理論がUnterbergerらにより,整備されていて,偏微分方程式の超局所解析などへの応用が期待できる.
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