2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J06914
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水谷 治哉 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シュレーディンガー方程式 / 散乱理論 / 平滑化効果 / 漸近展開 / 分散型評価 |
Research Abstract |
本研究の目的はシュレーディンガー方程式の広い意味で平滑化効果、具体的には解の時間減衰を表す分散型評価(L^p-L^q評価)や時空間での有界性を示すStrichartz型評価などを証明し、解の時間大域的な挙動をより精密に解析することであった。平成20年度は、解の時間減衰、特に一様ノルムの減衰について研究し、1次元ユークリッド空間上の時間依存シュレーディンガー方程式の散乱解の重み付き分散型評価を既存の結果よりも弱いポテンシャルに対する仮定の下で証明した。特に、ゼロエネルギーが共鳴状態でないときには、重み付き空間上で散乱解は通常よりも速く減衰することがわかった。これは物理的には、散乱解の分布がある速度で原点から離れていくことを示唆している。一般に、重み付き分散型評価やStrichartz型評価は、非線形シュレーディンガー方程式の定在波の漸近安定性を解析するのに有用であることが知られているが、今回証明した評価を使うことによって、これまでよりも広いクラスの非線形シュレーディンガー方程式を扱うことができるようになると期待される。さらに、系として散乱解の重み付き空間上での時間大域的漸近展開に関するポテンシャルの仮定を、これまでより大幅に改善することに成功した。また、ゼロエネルギーが共鳴状態でないときには、より広い空間で漸近展開が成り立つことも証明した。証明の鍵となるのは、レゾルベントの低エネルギーにおける挙動を精密に評価することである。私はすでに知られているレゾルベントのフーリエ変換に対する評価を改良し、より精密なレゾルベントの評価を証明した。これらの結果は論文としてまとめ、投稿準備中である。
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Research Products
(1 results)