2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J06914
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水谷 治哉 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シュレーディンガー方程式 / Strichartz評価 / 散乱多様体 / 分散型評価 / 漸近展開 |
Research Abstract |
(1)散乱多様体上のStrichartz評価:近年、多様体上の非線形シュレーディンガー方程式(NLS)の研究が盛んになされているが、Strichartz評価はその基本的な道具である。また、これまでは主にコンパクト多様体上で研究がなされてきたが、これからは非コンパクトな場合が重要になってくると考えられる。そこで、今年度は散乱多様体上の線形シュレーディンガー方程式について研究し、測地流に対する非捕足条件の下で、端点を含む全ての許容対に対して時間局所的Strichartz評価を示した。散乱多様体は計量が遠方で漸近的に錐型構造をもつ滑らかな非コンパクト多様体の1クラスで、具体例としては漸近的ユークリッド空間など多くの非コンパクト多様体を含んでいる。証明の本質的な部分は準古典的パラメトリックスの構成、およびその時間局所的分散型評価(ある種の有界性)であり基本解の性質とも関連がある。したがって、今回の結果は多様体上のシュレーディンガー方程式の基本解の構成(あるいは、有界性の証明)への第一歩であると考えている。また、端点を除いた評価はすでにHassell-Tao-Wunsch(2006)によって証明されているが、端点での評価は、特に臨界指数の球き乗型非線形項を持つNLSの研究、例えば可微分性の低い空間における時間局所適切性や解の平滑化効果、定在波の漸近安定性の解析などに応用が期待される。 (2)1次元シュレーディンガー方程式に対する分散型評価:前年度に引き続き、1次元シュレーディンガー方程式に対する散乱解の時間大域的な漸近展開について研究した。これまでは(分散型評価としての漸近展開は)2次のオーダーまでしか得られていなかったが、今回は任意のオーダーで出来ることを証明した。この結果は論文としてまとめ、投稿中である。
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Research Products
(2 results)