2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J06914
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水谷 治哉 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シュレディンガー方程式 / ストリッカーツ評価 / 分散型評価 / 平滑化作用 / 散乱多様体 |
Research Abstract |
前年度に引き続きシュレディンガー方程式の初期値問題に対する解の平滑化作用、特にストリッカーツ評価や分散型評価に関して研究を行った。まず、1次元で遠方で十分速く減衰するポテンシャルを摂動した場合の解の漸近展開の結果を論文としてまとめ、発表した。次に、ユークリッド空間の極座標表示を一般化した非コンパクト多様体(いわゆる散乱多様体)の場合に研究を行い、測地流に対する非捕捉的条件の下で解の超局所的なパラメトリックスを構成し、それを用いて超局所的な分散型評価を証明した。また「解の超局所的な性質から空間大域的な性質であるストリッカーツ評価を導く」という視点から、この超局所分散型評価とproperly supportedな擬微分作用素を用いた相空間のリトルウッド-ペイリー分解を組み合わせることで空間大域的なストリッカーツ評価を端点評価を含めて証明した。このように解の超局所的な性質を本質的に用いるストリッカーツ評価の証明はこの結果が初めてであると思われる。さらに空間を遠方に制限すれば非捕捉的条件は必要ない、即ち(時間局所的評価に限れば)測地流の局所的挙動は遠方でのストリッカーツ評価には影響を及ぼさないということも示した。従って、この結果はHassell等の先行研究(Amer.J.Math 2006)の拡張というだけでなく、解の局所的性質と大域的性質との関係、あるいは多様体の幾何学的構造と解の平滑化作用との関係性を明らかにしたという点で新規性があると考えている。この結果は現在投稿中である。また、遠方で劣一次的に発散するポテンシャルを摂動した変数係数シュレディンガー方程式の場合を考察した。この場合は初期値が少しでも可微分性をもてば上記と同様の手法でストリッカーツ評価を示すことが出来た。現在、その微分のロスを回復するために加藤型局所平滑化作用を用いる証明方法を検討している。
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Research Products
(5 results)