2008 Fiscal Year Annual Research Report
資源管理型漁業の実効性と持続性-新しい産業組織論と厚生経済学の視点を中心にして-
Project/Area Number |
08J06946
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松井 隆宏 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 水産物価格 / 漁業管理 / サンマ漁業 |
Research Abstract |
1.本研究の主たる対象であるサンマ漁業について、漁業者、業界団体、市場関係者を対象とした調査をおこない、全体像を把握し、データを入手した。 2.調査結果にもとづき、漁業者組織(漁業管理組織)間の対立の構造と要因を明らかにした。これらは、サンマの生物学的な特徴(夏から秋にかけて南下)、価格形成上の特徴(高価格で取引される「はしり」が存在)、許可制度上の特徴(大臣許可漁業と知事許可漁業の間に、政策面での不整合が存在)、により説明された。 3.産地が複数である水産物の価格形成について、ミクロ経済学的な分析をおこない、サンマの価格形成のメカニズムをモデル化し、計量経済学的な手法により実証的に検討をくわえた。水揚港と消費地が1つの線分上に位置すると仮定し、それらの位置関係と距離に注目することにより、価格の関数を、単純な形で表現することができた。 4.漁業者組織(漁業管理組織)間の対立構造を踏まえたうえで、ゲーム論的な視点からの簡単な比較静学をおこない、漁業管理の実効性と経済的なインセンティブの関係について、実証的に検討をくわえた。サンマ漁業では、協調的な行動は、全ての漁業者組織(漁業管理組織)に利益をもたらすもの(パレート効率的)であることが示唆された。 5.これらの研究成果は、次年度において、漁業管理のインセンティブ構造に関する詳細な分析、および社会的受容性についての検討をおこなう際に、そのベースおよびモデルを提供するものである。
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Research Products
(1 results)