2008 Fiscal Year Annual Research Report
サル大脳皮質層構造における連合記憶の情報伝達:構造MRIに基づく電気生理学的研究
Project/Area Number |
08J06956
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小谷野 賢治 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | MRI / 皮質層構造 / 電気生理 / 連合記憶 / 高次認知機能 / 霊長類 / エルジロイ / 微小電極 |
Research Abstract |
本研究では、視覚性連合記憶に関する下部側頭葉の大脳皮質層構造の機能分化を調べることで、その情報処理過程を解明することを目的としている。当該年度においては、層構造における記録部位同定のための手法開発および下部側頭葉の予備的な電気生理学マッピングを主に行なった。 連合記憶に重要な下部側頭葉傍嗅皮質においては皮質層構造のMRI画像化が困難であるため、層構造の同定には組織切片を併用せねばならない。そこで当該年度においては、MRI画像と組織切片との対応づけを正確に行うため、両者で検出でき位置合わせの基準として用いることのできる鉄沈着標識を開発した。この標識は、脳内に挿入したエルジロイ電極を電気分解して金属成分を組織に沈着させることで生成され、MRIと組織切片双方で検出可能であった。標識沈着のための電気分解条件と検出のためのMRI撮像シークエンスを検討し、これらとMRI画像上での標識の大きさとの関係を明らかにした。さらに、標識を経時的に撮像し、沈着から1年半以上を経過しても標識は検出可能で慢性実験にも適用可能であることを示した。上記実験の要点を、第38回北米神経科学大会、第31回日本神経科学大会、東京大学生命科学研究ネットーワークシンポジウム2008およびグローバルCOEプログラム「生体シグナルを基盤とする統合生命学」第2回リトリートで報告した。現在、投稿論文として準備中である。 上記手法開発と平行し、層構造の機能分化同定に先立つ電気生理学マッピングを行なった。対連合記憶課題の訓練を終了させたサルヘと記録用チェンバーを取り付ける手術を行い、課題遂行下での電気生理学実験を開始した。下部側頭葉のTE野、36野を中心に神経活動記録を行い、対連合記憶に関連した活動を示す神経細胞クラスターの位置を同定した。その後、留置電極実験用アダプタを頭部固定具へ設置する手術を行ない、現在、MRIによる活動記録部位定位法を用いた電気生理学実験を開始する段階である。
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Research Products
(11 results)