2009 Fiscal Year Annual Research Report
サル大脳皮質層構造における連合記憶の情報伝達:構造MRIに基づく電気生理学的研究
Project/Area Number |
08J06956
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小谷野 賢治 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | MRI / 皮質層構造 / 電気生理 / 連合記憶 / 高次認知機能 / 霊長類 / エルジロイ / 微小電極 |
Research Abstract |
本研究では、視覚性連合記憶に関する下部側頭葉の大脳皮質層構造の機能分化を調べることで、その情報処理過程を解明することを目的としている。当該年度においては、まず層構造における記録部位同定のための手法を実用化し、さらにこの手法を用いて記憶に関連する神経細胞の大脳皮質内における分布の記録を開始した。 下部側頭葉の36野においては皮質層構造のMRI画像化が困難であるため、層構造の同定には組織切片を併用せねばならない。MRI画像と組織切片との対応づけを正確に行うため、両者で検出でき位置合わせの基準として用いることのできる鉄沈着標識の開発を行った。麻酔下の動物へと挿入したエルジロイ電極を電気分解することで鉄沈着標識を脳内で生成し、これをMRIで可視化した。作成した凍結組織切片に対してプルシアンブルー染色を行い、鉄成分が脳内へ沈着していることを確認した。次いで、組織切片上における鉄沈着部位とMRI画像上における標識位置とを定量的に比較し、鉄沈着標識の位置はMRIの解像度と同程度の±200μm以内という高い精度で対応させられることを示した。上記実験の要点は、36th International congress of physiological sciencesで発表し、論文としてまとめ、現在Journal of Neurophysiology誌へ投稿中である。 上記手法開発と平行し、視覚性対連合記憶課題を遂行中のサルを用いた実験を行った。まず、標的部位である下部側頭葉ヘエルジロイ標識を沈着させた。その後に留置電極を用いMRIにより電極先端を定位しながら神経細胞活動を記録した。神経活動記録時のマニピュレータの目盛りとMRI構造画像から、活動を記録した全ての神経細胞の位置を再構成した。現在約200個の神経細胞活動に関して層分布のマッピングを完了しており、データの解析中である。
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Research Products
(10 results)