2008 Fiscal Year Annual Research Report
中華民国国民政府の「司法改革」-近代国家建設における「司法」と国際関係-
Project/Area Number |
08J06969
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉見 崇 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 国民政府 / 憲政 / 法治 |
Research Abstract |
平成20年度、拙稿「抗戦末期到戦後中国的検察制度改革」(若林正文・松永正義・薜化元主編『跨域青年学者台湾史研究論集』稲郷出版社、2008年)を発表し、検察制度を中心として、国民政府期の司法制度の考察を行った。引き続き、訴訟制度等も併せて、制度面の総合的把握を試みたい。 一方で、一年間の研究を通じて、本研究の意義や特色をより一層明確にすることができ、また同時にそれに基づく具体的な課題に取り組むことができた。 ●研究の意義、特色等について →本研究の将来的な見通しは、国民政府期の政治社会、経済構造を総合的に把握し、特に従来通説となってきた「党-政-軍」という統治システムが抗日戦争末期から憲政実施(民主化)を見すえ、「党-行政-立法-司法-軍」という、事実上いわゆる三権分立を視野に入れたシステムを実行しようとしたのではないか、ということを明らかにすることにある。そこで、憲政実施前後の時期の統治システム及びその社会(実態)は「法治」ではなかったのか、というよりふみこんだ仮説をたてることにより、研究の意義をさらに明確にしたい。なお、ここでいう「法治」とは、国家権力、とりわけ行政権の恣意的な運用を許さないこと、と定義する。 ●具体的な課題について ○憲政実施前後の「法治」に対する思想史的分析。その考察の際、特に司法(の独立)、警察との関わりを中心に分析した。 ○行政(権)のなかでも特に警察(権)に焦点をあて、警察が扱う刑事事件について、法院や検察がどのように対応したのかを、制度と実態両面で考察してきた。 これらの課題を平成21年度も引き続き考察していく。その際の留意点として、立法(権)をつかさどる、立法院、国民参政会、省及び市参議会といった諸機関についても、併せてより意識したいと考えている。
|