2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J06994
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 大明 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 一酸化窒素 / 病害ストレス応答 / S-ニトロソ化 / ジャガイモ / ALSV |
Research Abstract |
植物は植物病原体に対して防御応答を誘導する場合に一酸化窒素(NO)を生成する。本研究ではNOシグナルが植物の抵抗反応誘導時に果たす役割を分子レベルで明らかにし、抵抗性植物作出の分子基盤を与えることを目的としている。そのために、植物細胞内におけるNO生成機構を明らかにすることと、生成したNOによる情報伝達機構を明らかにすることは重要であり、その中でも特にNOにより制御されるタンパク質翻訳後修飾機構であるS-ニトロソ化の標的となるタンパク質に着目した。 これまでに、NO供与体GSNOを処理したジャガイモ葉抽出タンパク質溶液において、多数のS-ニトロソ化タンパク質を検出し、質量分析計を用いた解析により、S-ニトロソ化の候補となるタンパク質を特定した。現在、より多くのS-ニトロソ化タンパク質を特定するために、S-ニトロソ化タンパク質を効率よく検出するための条件を検討するとともに、より質量精度の高い質量分析計を用いた解析を計画し、S-ニトロソ化候補タンパク質の特定を目指した。 また、細胞内のGSNOの蓄積に関与する因子のひとつであるGSNOレダクターゼ(GSNOR)が欠損した植物では細胞内にGSNOが蓄積することが知られており、S-ニトロソ化タンパク質を研究する上で有用なツールになり得る。そこで、ジャガイモ植物におけるGSNOR遺伝子の発現抑制植物の作製を行うために、リンゴ小球潜在ウイルス(ALSV)由来のベクターを用いたサイレンシング誘導を試み、これまでに、ジャガイモ植物における指標遺伝子の効率の良いサイレンシングに成功した。目的遺伝子の発現を抑制したジャガイモ植物を作出し、病害抵抗性の評価などの解析を検討した。
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