2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J07007
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
安達 澄子 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シロイヌナズナ / サイクリン / 気孔 |
Research Abstract |
我々は、これまでの研究でシロイヌナズナのD4型サイクリン(CYCD4)が胚軸の気孔を形成する過程の細胞分裂に特異的に機能する事を明らかにしてきた。そこで本研究は、CYCD4がどのような上流因子による制御を受け、どのような下流因子を介して細胞分裂を促進しているか明らかにする事を目的としている。本年度は研究の目的のうち、気孔形成過程で機能することが知られている遺伝子群とCYCD4との遺伝学的な関係を明らかにする、という遺伝学的解析を中心に実施した。 SPEECHLESS(SPCH)遺伝子は、シロイヌナズナの葉の気孔形成において初期段階の細胞分裂に必要であることが報告されている。そこでまず、spch変異の胚軸における気孔形成への影響を確認したところ、葉の場合と同様に、気孔形成に必要な細胞分裂が全く起こらなくなっていることがわかった。しかしながら、spch変異体でCYCD4を過剰発現した場合は、野生型でCYCD4を過剰発現した場合と比較して著しく細胞分裂の亢進効果が抑制されていた。つまり、CYCD4の気孔形成過程で細胞分裂を促進する機能には、SPCHが必要であることが示唆される。 SPCH以外に、シロイヌナズナの葉の気孔形成において初期段階の細胞分裂に必要であることが報告されている因子として、ERECTA(ER)が挙げられる。er変異体についても、胚軸で葉と同様に気孔に隣接して過剰な細胞が見られる表現型を確認した。er変異体とCYCD4過剰発現植物を交配すると、両方の表現型が合成されたような異所的な細胞分裂が観察された。また、er変異体とcycd4変異体を交配すると、er変異体と同様の表現型が見られ、cycd4変異による細胞分裂の抑制は観察されなかった。これらの結果から、CYCD4とERは互いに独立した経路で気孔形成段階の細胞分裂を制御することが示唆された。
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Research Products
(2 results)