2008 Fiscal Year Annual Research Report
シャペロニンの変性蛋白質「閉じ込め」と反応サイクルの1分子解析
Project/Area Number |
08J07008
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
野島 達也 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | GroEL / 分子シャペロン / シャペロニン / 蛍光1分子観察 / タンパク質フォールディング / GroES / GFP / ATPase |
Research Abstract |
シャペロニンGroELは変性蛋白質と結合し、続くATPと補助蛋白質GroESの結合に伴い変性蛋白質をGroEL/ES複合体内部の空洞に閉じ込める。空洞内で変性蛋白室のフォールディングが進行する。GFPにSBPと呼ばれるGroELに強く結合するペプチド配列を融合すると、GroEL/ES空洞への閉じ込めが遅くなることをこれまでに見出している。GroEL/ESシステムの律速過程である変性蛋白室の閉じ込め過程が遅くなった場合の反応サイクル全体への影響をSBP融合GFPを用いて調べることを本研究の目的とする。 SBPはファージディスプレイ法によって発見された天然には存在しないペプチド配列である。そのためSBPとGroELの結合様式が、通常のGroEL-変性蛋白質との結合様式と異なる可能性がある。これを確認するため、GroESを結合できないが、変性蛋白質は結合できるGroEL N265A変異体とSBPとの結合実験を行った。結果、SBPはGroEL N265Aに結合した。これから、SBPを通常の変性蛋白質として扱ってよいことが分かった。本研究の最終目標は変性SBP融合GFP存在下でのGroEL/ESの結合・解離の1分子蛍光観察による反応サイクルの速度論的解析である。この実験を効率的に行うにはSBP融合GFPが観察系中に変性状態で保たれる必要がある。しかしGFPは変性状態から天然状態へ自発的にフォールディングしてしまう。これを解決した。GFPの48番目のシステイン残基をN-etylmaleimideで修飾すると自発的フォールディングができなくなり、GroEL/ES依存的にフォールディングするようになることを見出した。変性状態のN-etylmaleimide修飾SBP融合GFPは一般の変性蛋白質と同様に、GroELのATPase、GroES解離を促進した。
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Research Products
(2 results)