2009 Fiscal Year Annual Research Report
シャペロニンの変性蛋白質「閉じ込め」と反応サイクルの1分子解析
Project/Area Number |
08J07008
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
野島 達也 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | GroEL / 分子シャペロン / シャペロニン / GroES |
Research Abstract |
GroELは変性蛋白質を結合し、ATPと補助蛋白質GroESの結合に伴い変性蛋白質をGroEL/ES複合体内部の空洞に閉じ込め、変性蛋白室のフォールディングを補助する。SBPと呼ばれるGroELに強く結合するペプチドをGFPに融合すると、GroEL/ES複合体への閉じ込めが遅くなることをこれまでに見出した。 GroELの反応サイクルには2個の律速過程が存在し、最初の過程が変性タンパク質の閉じ込めに対応する。SBP融合GFPを用いて変性蛋白室の閉じ込め過程が遅くなった場合の、GroELの反応サイクルへの影響を一分子観察により調べることを本研究の目的とした。SBP融合GFP存在下で、GroELとGroESとの結合解離の一分観察実験を行ったが、律速過程の延長は観察されなかった。これは変性タンパク質の閉じ込めと、GroEL/ESの持つ律速過程が厳密にカップルしていないことを意味した。本研究の実験系はGroELの持つ2つのリング構造の一方にGroESが結合した「弾丸型複合体」を中心とした反応モデルをもとに組み立てられていた。本研究のさなか、両方のリングにGroESが結合した「フットボール型複合体」が反応サイクルを考える上で無視できない存在であることが他のグループから報告された。そこで、GroELの構造変化をサブユニット間ジスルフィド結合により検出する変異体を作成し、ヌクレオチド条件等との関連を検討した。結果、GroELはATP存在下では両方のリングが構造変化することが明らかとなった。そして、構造変化に続くGroESの両方のリングへの結合によって、フットボール型GroEL/ES複合体が形成されることを明らかにした。ヌクレオチド条件とGroELの構造変化の関連と、フットボール型複合体の形成条件を解明したこの結果をJournal of Biological chemistry誌に報告した。
|
Research Products
(2 results)