2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J07024
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
中野 智之 National Museum of Nature and Science, Tokyo, 地学研究部, 特別研究員PD
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Keywords | カサガイ / ニシキウズガイ科 / 分子系統 / ミトコンドリアDNA / 核DNA / 生物地理 |
Research Abstract |
本年度の研究は、カサガイ類のうちマツバガイ、ウノアシ、ヨメガカサ、ベッコウガサを研究の対象とし、生物地理を議論する事を目的とた。2種類の色彩多型を持つマツバガイについては、日本の34地点から得られた60個体を解析の対象とし、ミトコンドリアDNAのCOI領域の一部658bpを用いた分子系統解析を行い、軟体部や殻構造、および歯舌の形態の比較を行った。その結果、分子および形態形質では色彩変異の2型を区別する根拠はなく、マツバガイの色彩多型は種内変異である事が明らかになった。また、マツバガイは遺伝的に3つのクレード、(1)本州、四国、九州東岸、(2)九州西岸、(3)九州南岸に分けられる事が判明した。これら3つの地理的なクレードは、おそらく第四紀の海水準変動に伴う生息場の拡大縮小によって構成され、現在、九州南岸のクレードは砂浜によって隔離されていると考えられる。 また、ウノアシ、ヨメガカサ、ベッコウガサを対象とした研究では、いくつかの隠蔽種が存在する事が判明したので、今後、解剖学的・形態学的解析に加えて、模式標本の精査を行い、分類の再検討と新種記載を行う予定である。 本年度は、カサガイ類以外にも、ニシキウズガイ科の科レベルでの系統関係を明らかにするための共同研究を行った。ミトコンドリアDNAのCOI, 12S, 16S,核DNAの28Sによる解析の結果、ニシキウズガイ科は少なくとも6つの亜科から構成される事が分かった。その内、2亜科は新亜科として報告した。
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Research Products
(7 results)