2008 Fiscal Year Annual Research Report
分子スケール物性評価に向けた多探針原子間力顕微鏡の開発
Project/Area Number |
08J07054
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
常見 英加 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | AFM / プローブ顕微鏡 / マルチプローブ / ナノスケール物性計測 / 刺激-応答計測 / ナノ電気計測 / 光てこ法 / 有機半導体薄膜 |
Research Abstract |
本研究ではナノエレクトロニクスの進展に寄与する2探針原子間力顕微鏡の開発を目的とした。原子間力顕微鏡(AFM)の2探針を試料上の任意の場所に接触しうるプローブ電極とし、ナノテスターとして用いることで、微小試料の自由な多端子電気測定が可能となるほか、直接的な力学刺激の印加、構造解析、さらに局所的電荷分布、磁気力測定などを組み合わせることで、広くナノスケールの「刺激-応答」測定が可能となる。 ナノスケール構造体の物性評価に適応する高い分解能を実現するため、カンチレバー変位検出系の高感度化を図った。一般的なAFM装置で用いられる、レーザー光を直上から入射する配置の高感度な光てこ法を2探針に対して適応するため、また同時に高倍率な光学顕微鏡との複合を可能とするため、それら光学系の設計を行った。同時に、ナノスケール構造体はその表面状態が物性に大きく寄与するため、真空・大気・ガス雰囲気といった環境による影響を評価することが必要不可欠である。よって、観察環境制御への適応へ向けてAFMヘッドの小型化、密閉化を試みた。また、このような小型化、密閉化は振動ノイズ、熱ドリフト低減のためにも有効である。上記「カンチレバー変位検出の高感度化」「小型化、密閉化」の2点をふまえた2探針AFM装置を設計し、現在構築中である。 一方、これまでに開発した2探針AFMの性能を評価するために、シリコン酸化膜上に堆積した有機半導体ペンタセン薄膜に対し、導電性の2つのカンチレバーを微小電極としてコンタクトさせ、電界効果トランジスタ特性を計測した。表面形状において確認した単一ドメイン内へ2探針を配置した状態で良好なゲート変調を確認した。同一の方法で試料基板上の任意の位置に対して測定が可能なため、今後、探針距離、ドメイン境界、膜厚、探針金属種、結晶性などへの依存性について多角的な評価が可能である。
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Research Products
(9 results)