2008 Fiscal Year Annual Research Report
健常児・自閉症児における話者の確信度の理解とその発達的変化の比較検討
Project/Area Number |
08J07078
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 優生 Kyoto University, 特別研究員DC
|
Keywords | 自閉症スペクトラム / 心の理論 / 視線追跡 / イントネーション / 文末助詞 / 確信度 |
Research Abstract |
本研究の目的は、健常児・自閉症児における他者の発話態度を推し量る能力について、その理解方略の違いや、発達的変化を探るものである。他者心理の中でも、過去に対象とされてこなかった確信度の強弱に焦点を当て、それらを伝達するパラ言語、言語による表現の理解能力を比較検討した。小学校低学年の自閉症スペクトラム児、健常児を対象に、話者の確信度を表す文末助詞「よ」「かな」あるいは文末イントネーションの上昇・下降の理解を、眼球運動追跡による手法をもちいて検証した。参加児には、ふたつの物体のうちどちらか一方が動くという状況下で、二つの対立する発話命題が音声呈示された。その発話には、上に挙げた文末助詞、イントネーションのいずれかによって確信度の強弱が付加されている。これらの手がかりに気付いて、より確信度の強い発話に呈示された情報に従うならば、その発話に支持された物体をより長く見ることが予測された。視線追跡装置により記録された注視時間の割合を分析した結果、文末助詞が与えられた条件では、二群ともにより強い確信度を伝達する発話(「よ」が伴う)による物体を長く注視したが、イントネーションが与えられた条件では、自閉症群の強い確信度で発話された(下降調)物体への注視割合はチャンスレベルに留まり、また健常群との有意差が見られた。これらのことから、話者の確信度を表す手がかりとして、イントネーションによる表現の理解が難しいことが示唆される結果が得られた。
|
Research Products
(5 results)