2010 Fiscal Year Annual Research Report
ブラジル狂犬病ウイルス野外株の病原性発現機序および宿主特異性の解明
Project/Area Number |
08J07084
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
佐藤 豪 国立感染症研究所, 獣医科学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 狂犬病野外株 / ブラジル / 遺伝子変異 / TTS (Transcriptional termination signal / 適応 |
Research Abstract |
【本年度の研究実施状況】昨年度に引き続き、ダイレクトシークエンスにより、継代中の変異箇所を検索した。新たに2か所の変異箇所が見つかり、これで派生株8株に見られた継代中の変異は、計14か所となった。ダイレクトシークエンスの波形データでは、同じ塩基位置に2種類の塩基が存在する波形(double-peak)が見られたが、これは2種類以上の遺伝子型が1つの株中に混在するためと考えられた。この事を確かめるため、特にP-M TTS領域を増幅し、クローニングによって各遺伝子型を「拾う」実験を行った。この結果、ダイレクトシークエンスで示されたdouble-peakは、確かに2つの遺伝子型が混在することによるものであることが確認できた。また、継代後にP-MTTS変異株が見られた野外株は、継代前の株においても、僅かながらP-M TTS変異株が存在することが確認された。このことから、継代後に見られた変異株は継代中にRNA配列が変異したものではなく、継代の過程、すなわち新たな環境にRVが適応する過程において、株中に混在している遺伝子型の構成比が変化した結果、ダイレクトシークエンスによって「変異」として検出されたことが強く示唆された。意外なことに、継代後に変異が見られなかった株においても、継代前の株中にP-M TTS変異が存在することが確認された。全てのP-M TTS変異株が、継代後に等しく変異として検出できなかった(=株中の遺伝子型構成比において、多数を占めることが出来なかった)という事より、このP-M TTS変異は、継代における環境からの選択によるものではなく、P-M TTS変異株自体が保持する、何らかの要因によるものであることが示唆された。
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Research Products
(2 results)