2008 Fiscal Year Annual Research Report
イヌ毛包幹細胞の生物学的特性の解析とそれを用いた毛包再構成の試み
Project/Area Number |
08J07102
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小林 哲郎 Gifu University, 連合獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イヌ / ケラチノサイト / 毛包幹細胞 |
Research Abstract |
本研究の目的は、イヌの毛包幹細胞の生物学的特性を解析し、それを用いた毛包再構成の系を確立することで、将来的にイヌの毛包再生医療の実現を目指すことである。平成20年度は、1.ヒトやマウスで報告されている毛包バルジ幹細胞マーカーのイヌ毛包における発現パターンについて検討し、2.発現パターンに基づきイヌ毛包から分離した幹細胞に富んだケラチノサイト分画を分離し、3.分離したケラチノサイト分画のin vitroでの増殖能および形態学的特徴について解析した。まず、他種で確立している各種毛包バルジ幹細胞マーカーのイヌ毛包における発現様式を検討したところ、イヌの毛包においてもKeratin 15の発現を立毛筋不付着部であるバルジ領域に確認した。これよりKeratin 15がイヌにおいてもバルジマーカーとして有用である可能性が示唆された。さらに現在ヒトのバルジ細胞表面マーカーであるCD200を含めた他のマーカーの発現をin situ hybridization法を用いて解析中である。次に、Keratin 15の発現様式をもとに、イヌの毛包を上部、中間部、下部の3つに分割し、それぞれから分離したケラチノサイトの増殖能および形態学的特徴について解析を行った。バルジ領域を含む毛包中間部から分離したケラチノサイトは、他の部位から分離したケラチノサイトと比較してin vitroで大きなコロニーを形成した。またそのコロニーは形態学的に未分化なケラチノサイトを含み、幹細胞の特徴の一つであるホロクローンの特徴を示した。これらの結果からイヌの毛包中間部領域には、幹細胞の生物学的・形態学的特徴を持った細胞集団が存在することが示された。来年度は、ラベルリテイニング法を用いてイヌの毛包における幹細胞の局在を詳細に検討するとともに、本年度分離したイヌ毛包バルジ細胞の多分化能について毛包再構成の系を用いて評価する。
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