2008 Fiscal Year Annual Research Report
腸管マスト細胞を標的とした新規アレルギー治療戦略の確立
Project/Area Number |
08J07124
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
倉島 洋介 The University of Tokyo, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 腸管過敏症 / 粘膜型マスト細胞 / 抗体 |
Research Abstract |
本研究において、腸管免疫システムによる恒常性維持機構の破綻により引き起こされる消化管アレルギーに対する新規予防・治療法の開発を念頭に、環境因子や生体内因子による腸管マスト細胞の分化・遊走・活性化機構を解明することを目的としている。初めに腸管粘膜に存在する粘膜型マスト細胞に高い特異性を示す抗体を樹立し、標的分子の探索ならびに同定を進める。本研究を遂行するに当たり、抗体療法への応用も視野に入れている。 本年度は、本研究の基盤となる「粘膜型マスト細胞に対する抗体樹立」ならびに「標的分子の同定」を目標に掲げ取り組んできた。食物アレルギーマウスの腸管粘膜からフローサイトメトリー法を用いてマスト細胞を単離精製し、免疫源として用いることで、活性化粘膜型マスト細胞に対する抗体の樹立を目指した。さらに、膜表面分子を認識する抗体の樹立を試み、現在までに4種類の抗体を樹立した。本年度樹立した抗体の一つは、耳介などの結合組織に存在するマスト細胞は認識せず、腸管のマスト細胞に高発現している分子を認識している。さらに、抗体による前処理により、マスト細胞の活性化および脱顆粒反応が有意に抑制されることを見出している。またin vivoの実験においても、腸管過敏症マウスモデルを用いることで、抗体投与群の炎症が軽減されたことから、本年度樹立した抗体が炎症抑制に有効であることが示された。現在、抗体のリガンド欠損マウスを既に導入しており、次年度にはアレルギー疾患発症における抗体のリガンド陽性のマスト細胞の機能と挙動の詳細な解析を行う予定である。また、本学の伊庭英夫研究室との共同研究を開始し、初代培養マスト細胞に対するレンチウィルスベクターを用いた、有効的な遣伝子ノックダウン法の開発を世界に先駆けて試みている。本実験系により、抗体のリガンドの同定・機能解析さらにはin vitroのみならず、in vivoにおいてもマスト細胞特異的遺伝子解析および制御が可能となり、今後の研究の発展に大いに貢献していくと考えている。
|
Research Products
(2 results)