2010 Fiscal Year Annual Research Report
最適輸送問題からのリーマン計量の変形理論-曲面上のリッチ流の再解釈-
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08J07130
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高津 飛鳥 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 最適輸送理論 / 情報幾何 / 多孔質媒体流 |
Research Abstract |
私の研究目的は,リーマン多様体上のある種の発展方程式を最適輸送理論を用いて解析することである.ここで発展方程式は解の総質量が有限かつ時刻に依存しない方程式,例えば多孔質媒体流と呼ばれる線形・非線形発展方程式を扱う.解の総質量有限性より総質量を1に正規化し,確率測度とリーマン体積測度に関する密度関数を同一視すると,解の総質量不変性より解のなす軌道は確率空間上の軌道とみなせる.一方最適輸送理論とは1781年にMongeが提唱し,1948年にKantorovichが大きな進展がもたらした理論であり,確率測度空間上にWasserstein距離という距離構造を導く.この確率測度空間上の距離構造を用いることで,多孔質媒体流はあるエネルギー関数の勾配流とみなせる.そして勾配流を解析する際に重要となるのがエネルギー汎関数の凸性である.線型な多孔質媒体流のエネルギー汎関数が凸になるための幾何学的同値条件はBakry-Emeryによって与えられていた.非線型多孔質媒体流のエネルギー汎関数が凸になるため同値条件はSturmによって与えられているがしかし,その幾何学的意味はやや不明瞭であった.そこで情報幾何というWasserstein幾何とは異なる確率測度空間上の幾何を用いることで,京都大学の太田慎一氏との共同研究により非線型多孔質媒体流のエネルギー汎関数が凸になるための幾何学的同値条件を与え,さらにWasserstein幾何と情報幾何という異なる二つの確率測度空間上の幾何を比較することで冪分布に対する新しい形の測度の集中現象を導いた.
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Research Products
(2 results)