2008 Fiscal Year Annual Research Report
TEMPO酸化によるセルロースミクロフィブリルの構造解析
Project/Area Number |
08J07136
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
沖田 祐介 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | セルロース / ナノファイバー / 機械パルプ / LBL表面剥離 |
Research Abstract |
近年の環境意識の高まりにより、材料設計では常に環境への配慮を心がけなければならない。セルロースを基盤材料に選択することは、有力な手段の一つである。その中でもセルロースミクロフィブリルは高アスペクト比の高結晶ナノファイバーであり、ガラス繊維・アラミド繊維に匹敵する弾性率を持ち、その太さは由来により3〜20nm程度と人造の物より遙かに細く、これを材料として利用する応用研究に注目が集まっている。当研究室でTEMPO触媒酸化によって天然セルロース繊維をミクロフィブリル単位で水に分散させる手法が新たに見出された。セルロースミクロフィブリルの利用検討の前提として、個々のミクロフィブリルに対する分析が必要とされているため、上記の手法を用いてその知見を得ることを目的とした。 もっとも豊富なバイオマスは木材である。木材のミクロフィブリルを解析する試料としてはアルカリ蒸解等のパルプ化処理を経た物よりも機械パルプ等の木材と組成が同じサンプルを用いる方が望ましい。今年度、機械パルプのTEMPO触媒酸化機構の解析が終了し、機械パルプからのナノファイバー調製に成功した。このナノファイバーはリグニン・ヘミセルロース等の非セルロース物質がTEMPO酸化中に全て可溶化しているため、木材ミクロフィブリルの解析材料として最も望ましい試料であると言える。 ミクロフィブリル構造解析では、酸化ミクロフィブリルの表面を選択的に剥離することが可能となった。この現象を利用することでミクロフィブリル表面のLayer-by-layer剥離手法を確立できた。この手法ではミクロフィブリルの太さを1nmごとに減少させることができ、これによって作成したサンプルを用いることでセルロース諸物性のミクロフィブリル太さ依存性を調べることができる。
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