2009 Fiscal Year Annual Research Report
TEMPO酸化によるセルロースミクロフィブリルの構造解析
Project/Area Number |
08J07136
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
沖田 祐介 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | セルロース / ナノファイバー / Layer-by-Layer / 複合体化 / 機械パルプ |
Research Abstract |
近年の環境意識の高まりにより、材料設計では常に環境への配慮を心がけなければならない。セルロースを基盤材料に選択することは、有力な手段の一つである。その中でもセルロースミクロフィブリルは高アスペクト比の高結晶ナノファイバーであり、ガラス繊維・アラミド繊維に匹敵する弾性率を持ち、その太さは由来により3~20nm程度と人造の物より遙かに細く、これを材料として利用する応用研究に注目が集まっている。当研究室でTEMPO触媒酸化によって天然セルロース繊維をミクロフィブリル単位で水に分散させる手法が新たに見出された。その後、リグニン・ヘミセルロースを含んだ未化学処理の機械パルプから直接のナノファイバーを調整できることが明らかにされた。 セルロースナノファイバーは上記のように、有望な材料ではあるが、従来では水中にしか分散することが不可能であったため、その利用に制限があった。セルロースナノファイバー表面に存在するカルボキシル基の対イオンを調整し、有機溶媒との親和性を改善することに成功し、セルロースナノファイバーを汎用有機溶媒中へ分散させることが可能となった。この手段を用いることで他の素材と複合化ができる。 ミクロフィブリル構造解析では、酸化ミクロフィブリルの表面を選択的に剥離することが可能となった。この現象を利用することでミクロフィブリル表面のLayer-by-layer剥離手法を確立できた。この手法ではミクロフィブリルの太さを1nmごとに減少させることができ、これによって作成したサンプルを用いることでセルロース諸物性のミクロフィブリル太さ依存性を調べることができる。
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