2009 Fiscal Year Annual Research Report
磁気浮上技術を用いた低溶血・無血栓ディスポーザブル血液ポンプの研究
Project/Area Number |
08J07168
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
土方 亘 Tokyo Institute of Technology, 精密工学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 使い捨て遠心血液ポンプ / 磁気軸受 / 血栓 / 動物実験 / レアメタル / 磁石レス |
Research Abstract |
本研究では,インペラを磁気軸受によって浮上する磁気浮上遠心血液ポンプを提案している.平成21年度は,1.使い捨てポンプヘッドにインペラ磁気浮上・回転用の永久磁石を用いた1次試作機の動物実験,および2.使い捨てポンプヘッドに永久磁石を用いない磁気浮上遠心血液ポンプの提案・設計を実施した. 1.1次試作機の動物実験 血栓特性を評価するため,東京医科歯科大学の協力のもと,仔牛を用いた2週間程度の動物実験を実施した.その際,心臓の左心室と大動脈に試作血液ポンプを接続し,左心室脱血・下行大動脈送血とした.その結果,これまでに3頭の子牛が2週間の生存に成功し,インペラを磁気浮上することの有効性を確認している.また,長期運用時の生体への影響や,ポンプシステムの耐久性等を確認するため,約一カ月の動物実験も1例実施し,仔牛の生存に成功している. 2.使い捨てポンプヘッドに永久磁石を用いない磁気浮上遠心血液ポンプ 1次試作機ではインペラ内部に浮上・回転用のネオジム磁石を使用していたが,ネオジム磁石の個々のばらつきが比較的大きく,量産時に高精度回転の維持が困難となることが懸念される.また,レアメタルへの依存の観点からも望ましくない.そこで,使い捨て部に永久磁石を使用しない磁気軸受を提案した. 本磁気軸受は,インペラ内部に埋め込んだロータの径方向を電磁石で能動的に制御し,軸・傾き方向を再利用部に用いた永久磁石のバイアス磁束で受動的に支持する2自由度制御型磁気軸受である.設計の際,十分な耐衝撃性を確保するため,磁気軸受の支持剛性が1次試作機と同等となるように磁気回路を工夫した.提案する磁気軸受を適用した2次試作機を用いてインペラの磁気浮上を試みたところ,液体中にてインペラの磁気浮上・非接触回転を実現し,磁気軸受の動作を確認した.今後は,2次試作機を動物実験に適用する予定である.
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