2008 Fiscal Year Annual Research Report
EU法秩序の法哲学的考察-新しい法秩序モデル構築のために
Project/Area Number |
08J07197
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 圭介 Kyoto University, 法学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 法哲学 / EU / ハンス・ケルゼン / 国際法学 / 国法学 |
Research Abstract |
本年度は、国際法秩序にも国家法秩序にも還元されえない、独自の法秩序と位置づけられるEU法秩序の特性を分析する法秩序モデルを構築するという本研究の目的を達成するための土台となる、従来の国際法学や国法学が無意識のうちに有していた、「国家連合/連邦国家」という二元論図式、及び国家主権ドグマという前提の克服、そして、それを代替する新しい前提理論の構築が目標とされた。具体的には、20世紀最大の法哲学者ハンス・ケルゼンが提唱した「純粋法学」の理論を再検討することによって、この前提理論の構築が試みられた。この作業により、EU法秩序を、「理念型」的な法秩序に対する特殊なアノマリーとして位置づけるのではなく、あくまで、従来より典型的とされてきた「国家連合/連邦国家」と並んで、しかし、それとは異なる独自の秩序形成の様態であると理解することが可能になるとともに、この「国家連合/連邦国家」という秩序形成との相違を偏見なく摘出するための素地が獲得された。次年度は、この新しい前提理論を提供すると思われるもう一人の理論家、カール・シュミットの「連邦」論を、近時のドイツ語・フランス語文献を参照することを通じて、再検討するとともに、本年度の研究を継続的に発展させるため、ハンス・ケルゼンが提起した具体的な「連邦的」法秩序モデルを検討することで、EU法秩序の特性を分析する法秩序モデルを独自に構築する試みに着手したい、と考えている。
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