2008 Fiscal Year Annual Research Report
里地地域における草原生植物相の保全・再生ポテンシャルに関する景観生態学的研究
Project/Area Number |
08J07227
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小柳 知代 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 生物多様性 / 保全 / 再生 / 半自然草地 / 里地里山 / 植物 / 土地利用 / 景観構造 |
Research Abstract |
本研究の目的は、里地地域における生物多様性の核となる草原生植物を対象とし、過去100年以上に渡る長期的な土地利用および景観構造の変化が、現在の分布状況と将来の供給可能性に与える影響を解明することで、保全・再生のターゲットを抽出するための具体的な評価指標を提示することである。評価指標としては、地図ベースと種ベースで得られる情報の2種類を考えている。 地図ベースで得られる指標に関しては、今年度、植生調査と地理情報システム(GIS)を用いた解析を組み合わせることで、現在の草原生植物の分布状況を説明することのできる土地利用と景観構造に関する指標を抽出することができた。また、種ベースの指標としては、草原生植物の種特性データベースを作成し、種特性の組み合わせと現在の希少性との関係について解析を行った結果、特に希少性の高い傾向を示す種特性グループが存在することが明らかになった。 以上の研究成果をふまえて、最終的に抽出される保全・再生のターゲットについて、実際の再生可能性を検証するため、最も可能性の高いと判断されうるサイトグループの中から一つを実験対象地として選択し、今年度、再生実験を開始した。地上植生の変化および播種対象種の発芽定着に関する調査は、来年度も継続して行い、本研究で得られる土地利用および景観構造に関する指標と、草原生植物種に関する指標の妥当性を検証することができるものと考える。 今年度実施した各種フィールド調査と、GISを用いた地図ベースでの解析とを組み合わせることで、最終的に、里地地域における広域スケールでの緑地保全計画を描く上で有効な具体的評価指標を明らかにし、来年度、博士論文としてまとめていく予定である。
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