2008 Fiscal Year Annual Research Report
年輪中炭素14と炭素循環シミュレーションを駆使した縄文・弥生転換期の環境因子探索
Project/Area Number |
08J07258
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高橋 唯 Yamagata University, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 炭素14年代 / 弥生期前期 / 太陽活動 / 宇宙線 / 安定同位体 |
Research Abstract |
本研究は,山形県の埋設古木の他,遺跡等からの木材試料単年輪をフルに活用して研究を進めている。考古学における弥生早期から前期の時期に位置している約2500年前の鳥海神代杉年輪を用いて,C14濃度が高い期間から減少する変動期の中で劇的に濃度変化しているピーク領域について単年輪測定データを積み上げて調べている。 本年度は次の実験が終了した。1)70単年輪についての年輪剥離,2)33単年輪のα-セルロースを抽出,3)30単年輪のα-セルロースからベンゼンを合成,4)11単年輪の炭素安定同位体比を測定。 この時期の単年輪データは世界に先駆けた研究成果であり,2500年前の変動期の中でも劇的に変化しているC14濃度ピーク(約50年)と太陽活動との関係を炭素循環シミュレーションにより調べた。単年輪測定の変動プロファイルの初期解析から太陽11年変動の構造が示唆されている。現在,宇宙線生成のモンテカルロシミュレーションを進めており,生成による要因を探索している。 さらに,山形県埋蔵文化財センターから提供を受けた,縄文時代後期と考えられている高瀬山遺跡から出土した木材試料2点についてもα-セルロース抽出の後,ベンゼンを合成,C14年代測定を行い,ウイグルマッチング法によって年代を推定したところ,弥生期以降の木材であった。試料調整方法等による影響を評価するとともに,他の木片による試料の測定を行う。 これらの新しい測定結果は太陽・地球環境変動の解明に重要な知見をもたらすと考えられる。
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Research Products
(7 results)