2010 Fiscal Year Annual Research Report
年輪中炭素14と炭素循環シミュレーションを駆使した縄文・弥生転換期の環境因子探索
Project/Area Number |
08J07258
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高橋 唯 山形大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 炭素14年代 / 弥生期前期 / 太陽活動 / 宇宙線 / 安定同位体 |
Research Abstract |
本研究は,山形県の埋設古木の他,遺跡等からの木材試料単年輪をフルに活用して研究を進めている。考古学における弥生早期から前期の時期に位置している約2500年前の鳥海神代杉年輪を用いて,C14濃度が高い期間から減少する変動期の中で劇的に濃度変化しているピーク領域について単年輪測定データを積み上げて調べている。 これまでの測定データの解析により太陽11年変動構造とピーク領域との位相関係が明らかになってきた。C14濃度変動から宇宙線モジュレーションを復元するには,地球炭素循環による効果を見積もることが不可欠である。C14の地域性を確認するために大気(北半球3つの地域・南半球),森林および海洋からなる11BOX炭素循環シミュレーションモデルを開発した。大気圏核実験によるC14濃度変動プロファイルとの比較からC14濃度のグローバルな大気運動パラメータ・生物圏・海洋圏との炭素交換率を決定した。さらに太陽黒点数データ・地磁気永年変化との比較から開発したモデルの有効性を確認した。この高精度炭素循環モンテカルロシミュレーションプログラムの完成により,宇宙線とC14濃度変化の関係を調べることが可能となった。この詳細な解析から鳥海神代杉生育期間のC14変化の要因として太陽活動の変化が重要であることがわかった。これらの研究成果の一部は物理学会にて発表した。 これらの新しい測定結果はシミュレーションと組み合わせて太陽・地球環境変動の解明に重要な知見をもたらすと考えられる。
|
Research Products
(10 results)