2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J07262
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
三浦 徹 University of Toyama, 理工学教育部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | グレリン / キンギョ / 摂食調節 / 高速液体クロマトグラフィー法 |
Research Abstract |
グレリンは、哺乳類の胃より発見された成長ホルモン放出促進作用を有するペプチドホルモンであり、摂食調節にも関与する。グレリンは脂肪酸修飾という特徴を有しており、哺乳類以外にも鳥類、爬虫類、両生類及び魚類において同定されている。しかしながら、魚類で初めてグレリンの遺伝子情報が示されたキンギョは明確な胃を持たず、グレリンの同定は行われていなかった。そこで我々は、キンギョグレリンの分子構造を明らかにするために、グレリンの単離、精製を行った。遺伝子情報に基づくRT-PCR法により、キンギョの腸において最もグレリンmRNA発現量が多いことを明らかにし、1540匹のキンギョから約200gの腸を摘出した。採集した腸よりタンパク質を抽出し、高速液体クロマトグラフィー法により分画した。グレリン活性を示す画分からグレリンを単離・精製し、シークエンサーによりグレリンペプチドを構成するアシノ酸を明らかにし、マススペクトル解析より分子量を測定した結果、11種類のキンギョグレリンを同定した。キンギョグレリンが複数存在するは修飾する脂肪酸の違い及びアミノ酸残基数の違いによるものであり、キンギョグレリンを同定することによって初めて明らかになった事実である。次にキンギョにおけるグレリンの生理的役割を探るために、キンギョ由来のグレリンを合成した。合成キンギョグレリンの投与はキンギョの摂食量を増加し、グレリンはキンギョの摂食調節機構に関与することを明らかにした。これは同種由来のグレリンを用いて得られた初めての実験結果であり、キンギョにおけるグレリン研究の基本的かつ重要な基盤を形成する第一歩である。以上の結果を踏まえ、キンギョにおけるグレリンの生理的役割についてさらに解析を進める必要がある。
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Research Products
(1 results)