2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J07263
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
手塚 記庸 Kyoto University, 物質-細胞統合システム拠点, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カーボンナノチューブ / フラーレン / ピーポッド / 光電変換 / 光電流 / ナノ炭素材料 / コンポジット / 泳動電着 |
Research Abstract |
内部空間にフラーレンを充填した単層カーボンナノチューブ(SWNT)は、フラーレンとSWNTが融合した新規ナノ炭素材料として注目を集めている。特に、SWNT内におけるフラーレン分子の一次元配列は電子の理想的な輸送経路として期待できることから、光電変換系への適用に興味が持たれる。そこで申請者は、このフラーレン内包SWNT(ピーポッド)を用いた光電気化学セルを作成し、その光電変換特性を明らかにすることを目標としている。一方、申請者は、SWNTとフラーレン(C60,C70,C84)のオルトジクロロベンゼン混合溶液に対し、貧溶媒であるアセトニトリルを添加すると、SWNTの外壁にフラーレン分子が密に吸着した構造体が形成されることを見出した。このような構造は、チューブ骨格上にフラーレン分子が配列しているという点において、チューブ内外の違いこそあれ、ピーポッドとの類似性を想起させるものである。次に、泳動電着法を用いてこれらの複合体を酸化スズ半導体電極上に薄膜化した。得られた修飾電極の光電気化学特性を湿式三極系セルにて評価すると、C60-SWNTおよびC70-SWNT複合体において、SWNTとの複合化による光電流発生効率の向上が確認された。これは、SWNT外壁に吸着したフラーレン分子が、ピーポッドにおけるフラーレンの一次元配列のように、電子の効率的な輸送経路として働いたためと考えられる。一方、C84-SWNT複合体では、SWNTとの複合化による光電変換特性の向上は認められず、また、他の複合体に比べ光電流発生効率は低い値となった。これは、C84の還元電位がC60やC70に比べて正側にシフトしており、酸化スズ伝導体への電子注入が強く阻害されているためと考えられる。以上の結果を国外雑誌に投稿し、受理・掲載された。また、各複合体の電子移動度等を詳細に検討した第二報を現在作成中である。
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Research Products
(4 results)