2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J07263
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
手塚 記庸 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 単層カーボンナノチューブ / フラーレン / ポルフィリン / ポリチオフェン / アゾベンゼン / 光電気化学 / 光電変換 / 時間分解分光 |
Research Abstract |
(1)光、あるいは熱の作用に応答して構造変化する含アゾベンゼン共役ポリマーを合成し、単層カーボンナノチューブ(SWNT)に対する分散能を検討した。このポリマーをSWNTの共存下、THF中で超音波照射したところ、cis基の割合に応じてSWNTの分散度が変化することがわかった。さらに、薄膜状態において熱を加え、構造変化を誘起することで、SWNTを残したままポリマーのみを除去できることを見出した。(2)フラーレン内包SWNTとポリ(3-ヘキシルチオフェン)からなる複合体について、その光ダイナミクスを評価した。フェムト秒過渡吸収測定および蛍光アップコンバージョン測定から、1ピコ秒以内という短いタイムスケール内で、励起錯体の形成および電荷分離を伴わない失活が起こっていることが明らかになった。(3)光電気化学特性に対する半導体性SWNTの濃縮効果を考察した。電気泳動法により濃縮した半導体性SWNT薄膜の光電変換特性を評価したところ、未処理SWNT薄膜に比べ、光電流発生効率に向上が見られた。これは、金属性SWNTを除去し、半導体性SWNTを濃縮したことで、金属性SWNTにより促進される励起状態失活や電荷再結合が抑制されたためと考えられる。(4)ポルフィリン-フラーレン連結分子の自己組織化凝集体について、凝集体内外における電荷輸送効率が光電変換特性に与える影響について考察した。凝集体の作成は、連結分子溶液に貧溶媒を急速注入することで行なった。詳細な構造観察から、この凝集体内部でポルフィリンとフラーレンがそれぞれ一次元に配列した双連続構造が形成されていることが示唆された。この凝集体をSWNTとともに半導体電極上に薄膜化し、光電変換特性を評価したところ、双連続構造に由来する効率的な電荷輸送に加え、SWNTによる凝集体同士の架橋効果によって光電流発生効率が大きく向上することがわかった。
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Research Products
(5 results)