2008 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカツメガエル卵母細胞内母性mRNAの翻訳を制御するmRNP複合体の機能解析
Project/Area Number |
08J07275
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中村 依子 The Institute of Physical and Chemical Research, 辻本細胞生化学研究室, 特別研究員(PD)
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Keywords | アフリカツメガエル / 卵母細胞 / 母性mRNA / 翻訳制御 / mRNP構成タンパク質 |
Research Abstract |
多くの動物の卵成熟および初期胚発生において、母性mRNAの翻訳制御は、遺伝子発現を時空間的に制御する上で重要なステップのひとつである。近年、母性mRNAの翻訳調節にはmRNP構成分子の役割が必要不可欠であることがわかってきたが、脊椎動物のmRNP構成分子の機能については不明な点が多い。本研究では、アフリカツメガエル卵母細胞のmRNP構成タンパク質を解析し、卵母細胞における母性mRNAの翻訳制御機構を明らかにすることを目的としている。 今年度は、アフリカツメガエル卵母細胞内の貯蔵mRNP複合体の構成因子としてP100タンパク質を同定し、その機能解析を行った。P100は卵母細胞の細胞質のみに存在し、未受精卵や初期胚では発現は見られない。また、密度勾配遠心法でmRNP画分に存在し、UV-crosslinkによりRNAと直接結合することから、P100はmRNP構成分子であると考えられた。卵母細胞抽出液からの免疫沈降と質量分析法によって、P100を含む複合体の構成タンパク質を調べたところ、FRGY2の他、Xp54、xRAP55、CPEBなどの、翻訳抑制に関与することが示されているmRNP構成因子が含まれていた。また、卵母細胞内にP100を過剰発現させると、卵成熟における卵核胞崩壊(GVBD)の遅延が見られた。そこで、P100が卵母細胞内でどのような母性mRNAの翻訳に影響するのかを解析した。P100を過剰発現させた卵母細胞にプロゲステロン処理をして、卵成熟過程における数種の内在性タンパク質の発現量の変化を調べたところ、卵成熟の進行に関与する特定のタンパク質の発現が抑制されていた。これらの結果は、P100が、卵成熟の進行に必要な母性mRNAの翻訳を抑制する可能性を示唆するものである。
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Research Products
(2 results)