Research Abstract |
申請した研究は,地球温暖化が森林蒸発散量・二酸化炭素固定量に与える影響を,プロセスベースドモデル(以下モデルと称す)を用いて,日本全国で予測するものである.そのためには,まず過去から現在までの気候変動を明らかにすることが必要不可欠となる.降水量について,これまでほとんど調べられてこなかった山地のデータを用いてその変動を調べた結果,山地の降水量には大きな変動は見られないということが明らかとなった. モデル構築には,森林生態系のプロセスを網羅した観測が行われている観測地のデータを用いることが最適である.このような条件を満たす九州大学福岡演習林の御手洗水試験流域において,気象観測・流量観測を行い,モデル構築に必要なデータを収集した.また,共同研究の一環で以前この流域で収集された樹冠遮断量のデータを取りまとめ発表した. 近年西日本各地においてモウソウチクの面積が拡大しており,その重要性は増しているにも関わらず,その観測値はほとんど存在せず,モデルの適用が難しかった.そこで,モウソウチク林において基礎的な水文データを観測し,その結果を発表した.これにより,モデルの適用範囲がモウソウチク林にも広げることができた. 本研究のモデルは,いくつかのサブモデルから構成されている.サブモデルの推定精度を確かめることは,モデル全体の推定精度を知る上で重要な情報となる.そこで,流出と積雪・融雪と2つのサブモデルについて,観測値を用いて精度の確認を行った.その結果,両モデル共,推定値は観測値を十分に再現できていることがわかった.
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