2008 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒を用いたカルボホウ素化:ホウ素-炭素結合活性化の機構と合成化学的利用
Project/Area Number |
08J07295
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白倉 将道 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ニッケル触媒 / シリルアセチレン / 付加反応 / C-H結合活性化 / ヒドロアルキニル化反応 / 高位置選択的 / 高立体選択的 / アルケン類 |
Research Abstract |
カルボホウ素化反応の研究とともに行ってきたアルケン類のヒドロアルキニル化反応において、進展が得られたので報告する。 [背景]付加反応等に対する反応性が高く、種々の官能基に変換可能な炭素-炭素三重結合を有するアルキン類を簡便に合成することができる反応の一つに、遷移金属触媒を用いた不飽和有機化合物のヒドロアルキニル化反応があげられる。この反応では、C(sp)-H結合を遷移金属触媒により活性化することで、種々の不飽和結合に対して温和な条件下、効率的にアルキニル基を付加させることができる。よって、既存の方法では合成困難と考えられるアルキン類を選択的かつ簡便に合成する手法としての利用が期待される。 現在までに、炭素-炭素二重結合に対する付加反応の例はほとんどなく、比較的反応性の高いアルケン類(アレンやノルボルナジエン、シクロプロペン類等)でしか達成されていなかった。 [成果]アルキニルホウ素化反応の基質検討段階において、これまで困難とされていたアルケン類(1,3-ジエン類、スチレン類、メチレンシクロプロパン類など)に対するヒドロアルキニル化反応がニッケル触媒を用いることで効率よく進行することを見出した。いずれの反応も、高位置選択に付加反応が進行し、それぞれ、1,4-エンイン類、3-アリール-1-ブチン類や1-メチル-1-アルキニルシクロプロパン類が高収率で得られた。また、これらの反応は高立体選択的に進行し、1,3-ジエン類のヒドロアルキニル化では、E体の生成物が、メチレンシクロプロパン類のヒドロアルキニル化では、二重結合の立体障害の小さい側から付加反応が進行した生成物のみが得られた。
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Research Products
(5 results)