2009 Fiscal Year Annual Research Report
成長界面における融液イオン種分配現象の解明と高品質結晶育成への新しいアプローチ
Project/Area Number |
08J07318
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木村 博充 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ニオブ酸リチウム / イオン種 / 分配 / 定比化合物 / 欠陥 / 結晶成長 / 平衡状態図 / 熱力学 |
Research Abstract |
本研究は、「ニオブ酸リチウム(LiNbO_3;以後LNと記す)結晶成長における、イオン種分配のメカニズムを解明すること、及び、イオン種分配と結晶品質との関係を明らかにすること」を目的としている。イオン種が偏析されると、結晶内には電荷を持った点欠陥などが発生するため、光学特性が低下すると考えられる。そのため、全てのイオン種が偏析されない結晶育成条件が望まれている。昨年度は、適切なLi/Nb比を持つLNに不純物MgOを添加(cs-MgO:LN;Li_2O:Nb_2O_5:MgO=95.5:50:4.5)することで、全てのイオン種が偏析されなくなることを実験的、かつ、熱力学的に証明した。本年度は、cs-MgO:LNを含む各組成のLNファイバー単結晶をマイクロ引き下げ法により育成し、室温におけるd_<31>を利用した第二高調波発生の位相整合波長許容度、変換効率を測定した。位相整合波長許容度は、結晶内の誘電率の均一性を示す指標であるが、誘電率は結晶の組成に依存するため、組成の均一性を示す指標でもある。cs-MgO:LNが最も許容度が小さいことが明らかとなったため、最も組成の均一性が良いことがわかった。これは、この組成において、イオン種を含めた全ての溶質成分が偏析されないことに起因していると考えられる。第二高調波発生の変換効率の結果においても、cs-MgO:LNが最も大きい値を持つことがわかった。以上より、イオン種分配挙動の最適化が、結晶の光学特性の向上に繋がることが実証できた。
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Research Products
(5 results)