2008 Fiscal Year Annual Research Report
成長界面における融液イオン種分配現象の解明と高品質結晶育成への新しいアプローチ
Project/Area Number |
08J07318
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木村 博充 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ニオブ酸リチウム / イオン種 / 分配 / 定比 / 欠陥 / 結晶成長 / 平衡状態図 / 熱力学 |
Research Abstract |
本研究は、「ニオブ酸リチウム(LiNbO_3;以後LNと記す)結晶成長における、イオン種分配のメカニズムを解明すること、及び、イオン種分配と結晶品質との関係を明らかにすること」を目的としている。 融液中に存在する複数のイオン種が偏析されることで、成長界面近傍の融液側では正・負イオンの濃度差が生じ、この濃度差により界面で電位差(結晶化EMF)が発生する。この結晶化EMFを測定することで、逆にイオン種の分配に関する情報を得ることが可能となる。本年度は、様々なLi/Nb組成比、または、様々なMgO添加濃度を持つLNの結晶化EMFを測定することで、各組成におけるイオン種の分配状況を調べた。また、イオン種分配のメカニズムに関する熱力学的解析を行った。その結果、一致溶融組成において結晶が定比構造を有する時に、全てのイオン種が偏析されなくなることが明らかとなり、LNの融液イオン種の分配現象と結晶の定比性との間に重要な相関があることを見出した。結晶の定比性は、従来、育成された結晶の組成と酸素雰囲気の関係による欠陥モデルで議論されてきたが、結晶成長時の融液イオン種の結晶への分配現象による組成と欠陥発生に着目した結果、LNの成長で一般に使用される擬2成分系平衡状態図による議論は不完全で、酸素を独立させた完全3成分系状態図による議論が、イオン種分配から成長結晶の組成や欠陥を議論する上で必須であることを明らかにした。
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Research Products
(5 results)