2008 Fiscal Year Annual Research Report
ブルキナファソの国家森林政策が住民による樹木保全活動に与える影響
Project/Area Number |
08J07322
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
友松 夕香 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 西アフリカ / サバンナ地域 / コモンズ / 集合行為 / 資源管理 / 用益権 / シアナッツ / Vitellaria paradoxa |
Research Abstract |
採用第一年目は、希少化が進む樹木資源の共同管理に関する研究を文献レビューと2008年12月から2009年3までの3ヶ月間フィールドワークによる補足調査を行った。 研究では、住民が有用樹種のシア(Vitellaria paradoxa)の保護区を自発的に設立した活動を対象に、新たなコモンズが創出される体制作りと制度化の過程を明らかにした。体制の形成過程では、政策や経済価値など外部の影響は活動を開始する起爆剤として作用するものの、実際に活動が開始されるかどうかは、村落組織や村民の凝集性など、社会的要因が大きく関係していることがわかった(日本森林学会発表)。また保護区のシアナッツは、活動に従事しなかった村外女性にも用益権が付与されており、このルールは、地域でみられるシアナッツの用益権の形態に准ずる形態となっていることが明らかになった(日本熱帯生態学会発表)。このルールの決定に際しては、特に協議も行われず、地域の慣行にそって自然にルールが決定されたのだが、そもそもなぜ地域ではこのような用益権が生み出されたのか、現在、その社会・経済的な論理を明らかにするための研究を進めている(環境経済・政策学会発表)。 本研究の意義は、近年実際に行われた活動を対象事例として、共有資源の形成における体制作りや制度化の過程をより詳細に明らかにしたことである。また、その行為の背景にある論理を聞き取りや観察から考察することによって、集合行為の論理に関して今まで議論されていた経済的要因以外の要因を明らかにすることができた。この点において、本研究はコモンズ研究の進展に貢献するものであり、現在これまでの分析結果をもとに、投稿論文を執筆中である。
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Research Products
(2 results)