2009 Fiscal Year Annual Research Report
ブルキナファソの国家森林政策が住民による樹木保全活動に与える影響
Project/Area Number |
08J07322
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
友松 夕香 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 西アフリカ / サバンナ地域 / シア(Vitellaria paradoxa) / 共同管理 / ダゴンバ / 薪 / 人口密集 / Parkia biglobosa |
Research Abstract |
採用第二年目は、学会発表(日本アフリカ学会)と論文の執筆および現地調査(2010年1月~3月)を行った。 2009年5月の学会発表では、一夫多妻制の大家族の生計構造について報告した。土地や樹木の利用権を含める各成員の生計形態と、シアナッツの収穫権利が世帯内の地位や役割によって、特定の女性に付与される仕組みを明らかにした。 論文は三本執筆した。一本目では、上述のシアナッツの収穫権利保持者とその他の女性の間で形成された収穫権利を分配する制度とその形成要因を明らかにした。次に、複数の村で行われたシア保護区の事例を対象に、共同管理制度を明らかにし、その形成要因を村落に元来ある統治体制や慣習から分析した。三本目の論文では、人口が密集する地域での薪の希少化の実態を明らかにするとともに、植樹が行われない要因を土地と樹木の管理制度にかかわるジェンダーの視点から分析し、政策提言を行った。これらの論文は投稿中である。 2010年1月~3月のフィールドワークでは、小規模村を選び、村の土地分割とパーキア(Parkia biglobosa)の所有と管理状況を調査した。村内の土地は、複数のクランによって分割され、クラン長によって代々管理されている。ダゴンバ人社会では、村長によって選出されるクランの長老は、その土地に自生するパーキアの木を所有することになっている。そのパーキアの実は、その長老が所有することになっており、実の経済的利益を独占できる。この土地制度にかかわる樹木管理の実態を明らかにするとともに、パーキア豆からの収益を算出した。また、この樹木管理は、元来王国政治の税収の一部を捻出していたが、その現代的意義を考察した。 本研究で対象にしている、アフリカの地域社会に存在する様々な樹木管理の制度は、先行研究では報告程度にとどまり、詳しい実態が明らかにされることはなかった。このため、森林管理政策、プロジェクトは、現地の状況を踏まえた形で設計されることはなく、効果的ではないといえる。本研究の意義は、既存の樹木管理制度を現代における変容にも着目しながら再評価し、政策提言を行うことである。
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Research Products
(3 results)