2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J07333
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 智和 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | D-セリン / ピリドキサルリン酸 / 亜鉛 / D-セリン定量 |
Research Abstract |
申請者は真核生物におけるD型アミノ酸の機能と代謝解明を目的に研究に取り組み、その過程で、出芽酵母Saccharomyces cerevisiae機能未知タンパク質Ygl196wpが真核生物で初めとなる新奇のD-セリン分解酵素(D-セリンをヒルビン酸とアンモニアに分解)である事を見出した。本酵素の諸性質を検討した結果、本酵素がD-セリンに高い特異性を有し、L-セリンを含めたL型アミノ酸には作用しない事を明らかとした。また、本酵素はその活性発現に、ビタミンB6の補酵素型であるピリドキサール5'リン酸(PLP)に加えて、亜鉛を特異的に要求する事が明らかとした。この亜鉛の特異的な要求性は数あるPLP依存酵素において、本酵素のみが有するユニークな特徴であったため、その影響を詳細に解析した。結果、本酵素において、亜鉛は、酵素に局所的な構造変化をもたらし、基質のヒドロキシル基の脱離に寄与していることを明らかとした。本酵素の重要残基の検索を行い、本酵素のPLP結合残基、亜鉛の影響発現に寄与するシステイン残基を見出した。同システイン残基の変異により、本酵素が亜鉛を結合しているものの、亜鉛を介した酵素の構造変化能を喪失し、D-セリンに対する活性を完全に失う事を見出した。また、本酵素の高い基質特異性を利用し、簡便なD-セリン酵素定量法を確立した。その中で、本法がヒト尿中に大量に含まれているD-セリンの定量に有効である事を示し、さらなる感度の改善に取り組んでいる。現在は、本酵素の触媒機構、立体構造の解明を目指している。結晶構造解析に取り組み、針状結晶析出条件を見出した。良質な結晶を得るための最適化を検討中である。
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Research Products
(9 results)