2009 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍活性食用植物成分curcuminをリードとする創薬化学研究
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08J07351
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山越 博幸 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | クルクミン / KSRP / 抗腫瘍細胞活性 / c-Myc |
Research Abstract |
2年計画の後半となる本年度は、研究計画に基づき、クルクミンアナログGO-Y086とその結合タンパク質KSRP/FUBP2との相互作用を詳細に解析した。また、GO-Y086の抗腫瘍細胞活性発現機構の解明を目指した。全9種類のGO-Y086誘導体を合成し、KSRP/FUBP2との結合能を評価した。その結果、GO-Y086とKSRP/FUBP2が結合するためにはGO-Y086の芳香環の置換様式とリンカー部の両方が重要であることが明らかとなった。また、誘導体のがん細胞成長阻害活性とKSRP/FUBP2との結合活性は良い相関を示した。FUBPsはがん原遺伝子c-Mycの転写を活性化することが報告されている。c-Mycの発現抑制は細胞死を引き起こすことが知られているため、GO-Y086がKSRP/FUBP2の阻害を介してc-Mycの発現を抑制し、細胞毒性を示すことが考えられた。実際に、GO-Y086処理時のc-Myc発現量を、タンパク質レベルおよびmRNAレベルで調べたところ、いづれにおいても発現を顕著に抑制した。また、GO-Y086の非ラベル化体であるGO-Y030やクルクミンもc-Mycの発現を抑制した。すなわち、GO-Y086、GO-Y030およびクルクミンは、KSRP/FUBP2を介して細胞の生存に必須なc-Mycの発現を抑制し、細胞毒性を示すことが示唆された。以上より、クルクミンおよび誘導体の抗腫瘍細胞活性発現における重要な作用標的の一つがKSRP/FUBP2であることが考えられる。したがって、本結果はKSRP/FUBP2が新たな抗腫瘍剤開発の標的であることを示唆するものであり、創薬化学的に重要な知見である。
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Research Products
(5 results)