2008 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒を用いた環状ケトンの非対称化を経る新規不斉四級炭素構築法の開発
Project/Area Number |
08J07356
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
重野 真徳 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | β-炭素脱離 / シクロブタノン / 不斉四級炭素 / パラジウム / ハロゲン化アリール |
Research Abstract |
申請者は「遷移金属触媒を用いた環状ケトンの非対称化を経る新規不斉四級炭素構築法の開発」を目指し研究を行っている。不斉四級炭素は天然物及び生理活性物質の多くに含まれるが、その立体選択的構築は一般に容易なことではない。申請者は以前、3-(0-ヒドロキシフェニル)シクロブタノンにキラルなロジウム触媒を作用させると、シクロブタノンの非対称化を経て、ベンジル位不斉四級炭素を有するラクトン体を得ることに成功していた。しかしながらこの反応では、得られた不斉四級炭素の置換基の一つがメチル基に限られていた。平成20年度は不斉四級炭素の構成置換基に幅を持たせることを目指し、「パラジウム触媒によるシクロブタノンの炭素-炭素結合切断を経由するラクトン合成法」を新しく開発することに成功した。具体的には、パラジウム触媒と炭酸カリウム存在下、3-(0-ヒドロキシフェニル)シクロブタノンと臭化アリールをジオキサン中100℃で加熱したところ、ベンジル位に隣接する炭素原子上にアリール基が導入された6員環ラクトンが最高98%収率で得られた。これまでのところこの反応の不斉化は実現できていないが、この反応開発は申請者の目指す新規不斉四級炭素構築法を開発する上で非常に意義深い。さらに、2-ヒドロキシフェニル基を持つシクロブタノンから、2位の置換基の有無によって5員環ラクトンもしくは7員環ラクトンのいずれかが選択的に生成するという機構的に興味深い結果も得た。特に後者のベンゼン環に縮環した七員環ラクトンは生理活性物質にも含まれる骨格であり、合成化学上の利用価値は極めて大きい。
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Research Products
(2 results)