2009 Fiscal Year Annual Research Report
レポーター遺伝子導入マウスを用いた間葉系幹細胞の発生系譜に関する検討
Project/Area Number |
08J07365
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
新部 邦透 Keio University, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 間葉系幹細 / 骨髄幹細胞 / 中胚葉細胞 / フローサイトメトリ / 再生医療 |
Research Abstract |
中胚葉系の細胞をトレース可能なMesp1-cre/CAG-EGFPマウスをフローサイトメーターにて解析した結果、Mesp1+, Mesp1-どちらの分画にもMSCs集団が存在していることが分かった。そしてどちらの分画からも脂肪、軟骨、骨へ分化する間葉系幹細胞をクローナルに分離することが可能であった。以上より、中胚葉由来の細胞中にMSCsの性質を有する細胞が存在していることが確認できた。しかし、Mesp1-cre/CAG-EGFPマウスには、予想に反しMSCs細胞集団が少なく、Mesp1が中胚葉系細胞のマーカーとして適しているのかは議論の余地があり、現在より中胚葉系の細胞をトレースできる遺伝子群を探索中である。 いまだにMSCs、神経堤幹細胞の生体内での局在や起源は不明なままである。我々の研究でMSCsと定義される細胞の発生学的起源やin vivoでの局在、振る舞いが明らかになり、再生医療の細胞供給源をより安全で確実なものとすると考えられる。 現在、サブプロジェクトも進行中である。再生医療の細胞供給源をより安全なものとする目的として、induced Pluripotent Stem(iPS)細胞に焦点をあてた。iPS細胞はマウス線維芽細胞に特定因子を導入することによって、ES細胞様の3胚葉系への分化を示す。この技術は受精卵などを使わずにES細胞様の性質を持った細胞を得ることができる画期的な方法である。しかしながらマウス線維芽細胞からのiPS細胞の誘導率は0.05%程度と非常に低い。そこで、このように誘導率が低い理由として、線維芽細胞集団の中にごく少量含まれる体性幹細胞のみが、遺伝子導入により多分化能を獲得したという可能性も十分に考えられる。我々は、マウス骨髄中に存在するMSCsを用い、高効率にiPS細胞を樹立することが可能となっている。現在、樹立したiPS細胞の品質評価を行っている。
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