2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J07402
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
秋谷 直矩 Saitama University, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高齢者介講 / ヒューマン・ロボット・インタラクション / エスノメソドロジー / 会話分析 |
Research Abstract |
本研究は、高齢社会の到来に対するひとつの支援策として、介護行為を工学的に支援することを究極的目標としている。進む少子化と介護職の離職率の高さは、すでに現在においても高齢者介護の運営に大きな影を落としている。それへの対策としては、法的整備による支援と、現場の労働そのものを支援していく方策が考えられる。本研究では特に後者に焦点化し、介護行為そのものを支援するためには、まずは現場での知識・規範を知る必要があるとの観点から、社会学、特にエスノメソドロジーの知見を用いてその解明に取り組んだ。本年度は、協力を得ている奈良と埼玉のデイケアに数度赴き、聞き取り調査なども行いながら、ケア場面のビデオ撮影を行った。その分析を行った結果、介護者と高齢者間の会話開始部分においては、会話分析で言うところの「優先構造」がフェイスワーク実践の記述可能な様態として用いられていることが見出された。また、デイケア施設という複数人が参与する空間においては、介護者・高齢者双方が、そのようなかたちで会話を開始するためには、お互いの参与枠組を参照しあいながら、適宜身体的にその配置を調整していることが見出された。こうした社会学的な分析から、介護施設において介護を支援できるような対人コミュニケーションロボットを開発するためには、そのような振舞いの仕方や会話構造を反映させるべきであるという示唆が提示された。そうした示唆を受けて、複数人環境で特定の人物と会話を開始することができるような身体性をデザインしたプロトタイプのロボットが開発された。
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Research Products
(3 results)