2009 Fiscal Year Annual Research Report
含ケイ素σ結合の活性化による触媒的シリレン種の発生:有機ケイ素化合物合成の新展開
Project/Area Number |
08J07417
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増田 幸平 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シリレン / パラジウム触媒 / 有機ケイ素化合物 / シリルボラン / ホウ素化合物 / 結合形成 / 合成化学 / 有機金属化学 |
Research Abstract |
有機ケイ素化合物は安定性と適度な反応性を兼ね備えた有用な合成中間体である一方、有機ケイ素化合物自体の物性に対する関心も近年高まりつつあり、その簡便かつ高選択的な合成法の開発は急務である。本研究では、ケイ素元素を高い効率で有機分子に導入する新手法の開発を行った。既に明らかとしている、ケイ素上にジアルキルアミノ基を有するシリルボランが遷移金属触媒の存在下、シリレンの合成等価体として反応するという知見を基に、平成21年度の研究では、「種々の置換様式のアルケンと(アミノシリル)ボランのパラジウム触媒による反応」を行った。特にアルケンとして、(a)エチレンおよび、(b)アルケニルインドールを用いた場合について反応を検討したところ、従来の熱分解や光反応から発生させたフリーシリレンとは異なった反応性を有することを見出した。(a)では、シリレン等価体3分子とエチレン2分子の間で炭素-ケイ素およびケイ素-ケイ素結合形成反応が進行し、1,2,5-トリシラシクロヘプタンが生成したのに対し、(b)ではシリレン等価体のジエン部位での[4+1]環化付加と炭素-水素結合への挿入が連続的に進行し、二つのシリル基を有するインドールが生成することを、それぞれ明らかとした。今回の検討により、本反応系で形成されるパラジウム-シリレン種は、従来の熱反応や光反応から発生させたフリーシリレンとは異なった、特徴的な反応性を有することが明らかとなった。今後、このパラジウム-シリレン種についてさらに検討を進めることにより、有機ケイ素化合物の有用な新合成法開拓が期待できる。
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Research Products
(5 results)