2008 Fiscal Year Annual Research Report
赤方偏移6-8における宇宙最遠方ブラックホールの探査
Project/Area Number |
08J07420
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
後藤 友嗣 National Astronomical Observatory of Japan, 光赤外研究部, 特別研究員(SPD)
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Keywords | ブラックホール / 銀河進化 / 活動銀河核 / 銀河形成 / 銀河サーベイ / 爆発的星形成 |
Research Abstract |
第一研究目的のz>7における宇宙最遠方のQSOを世界に先駆けて発見するため、UKIDSS近赤外線サーベイによって新しく観測されたデータ(DR4)を用いて注意深くQSO候補天体の選択を行った。昨年に比べて、望遠鏡の光学系による人工的な光等の混入を除くアルゴリズムを改良し選択効率は大幅に向上した。また近赤外線データに対応させるべき可視光線のデータについて、SDSSサーベイの繰り返し観測された領域のデータを重ね合わせて用いることにより、従来のデータより3等級深いより信頼できるデータを用いることができた。この2点により、QSO候補天体の選択は世界最高のレベルで行うことができたといえる。 QSO候補天体を同定するための分光観測は、世界中の望遠鏡に観測提案を行った。本年度はケック10m望遠鏡可視1夜、赤外線2夜、すばる8m望遠鏡可視1夜、赤外線2夜、Gemini 8m望遠鏡20時間の観測時間を獲得した。8-10mの望遠鏡時間は研究者間での競争が激しい事を考慮すると、概ね良好に望遠鏡時間を獲得できたといえる。しかし、残念ながらこれらの観測時間のうち約50%は曇天のため観測不能であった。 残りの観測時間にて、最も有力なQSO候補天体の分光観測を行い有力な天体を発見した。この天体は波長9300Å付近に輝線が認められ、これがQSOのLyα輝線からのものであるとすると、赤方偏移はz=6.6からのものとなり、世界最遠方のQSOの発見となる。輝線より青い側に光が全く認められないこと、赤い側に星のそれにみられるように連続光が強くなっていかないこと、輝線の形が非対称であることも、この天体が星ではなく遠方のQSOであることを示唆している。しかしながら、現在得られているスペクトラはノイズが大きく決定的な結論を得るに至っていない。本天体は2009年度にすばる望遠鏡で追加観測をして最終的なQSO同定を行う予定である。
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Research Products
(11 results)