2009 Fiscal Year Annual Research Report
赤方偏移6-8における宇宙最遠方ブラックホールの探査
Project/Area Number |
08J07420
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
後藤 友嗣 National Astronomical Observatory of Japan, 光赤外研究部, 特別研究員SPD
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Keywords | ブラックホール / 銀河進化 / 活動銀河核 / 銀河形成 / 銀河サーベイ / 爆発的星形成 |
Research Abstract |
本研究の目的はz>7における宇宙最遠方のQSOを世界に先駆けて発見し、これを用いて宇宙最電離を解明することにある。このため、本年度はUKIDSS近赤外線サーベイによって新しく観測されたデータ(DR5)を用いて注意深くQSO候補天体の選択を行った。今年度スタートしたハワイ大学の行うパンスターサーベイの可視光線データをいち早くQSO候補選択に利用したことにより、QSO候補天体の選択は昨年度より効率よく行うことができた。 これらQSO候補天体を同定するための分光観測は、ハワイ大学のものを含め世界中の望遠鏡に観測提案を行った。本年度はすばる8m望遠鏡可視3夜の観測時間を獲得した。提出した観測提案のうち全てが採択されたわけではないが、8-10mの望遠鏡時間は研究者間での競争が激しい事を考慮すると、概ね良好に望遠鏡時間を獲得できたといえる。これらの観測時間のうち約30%は曇天のため観測不能であった。 残りの観測時間にて、最も有力なQSO候補天体の分光観測を行ったが、新しいQSOは発見できなかった。UKIDSSサーベイの進行状況が全計画の1/4程度であり、この領域でのQSO発見の期待値は~2個程度であることを考えると、この結果はポアソン統計の誤差の範囲内であると考えられ、引き続き探査を継続することが重要である。 QSO探査と平行して既知の遠方QSOに関する調査も行っており、今年度はすばる望遠鏡に新しく取り付けられた感度のよいCCDをいち早く利用することにより、現在知られている最遠方QSO(z=6.4)を取り巻くホスト銀河およびライマンα輝線星雲を発見した。これまでz>6の遠方宇宙ではQSOホスト銀河は発見されておらず、また11kpcという巨大サイズの銀河の存在は予期されていなかったから、これは重要な発見であったと思われる。この結果は、ハワイ大学を通じて報道発表され国内外多数の新聞に掲載された。
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Research Products
(6 results)