2008 Fiscal Year Annual Research Report
画期的抗生物質プラテンシマイシン及び強力な細胞毒性物質テダノリドCの全合成
Project/Area Number |
08J07422
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鳥羽田 宗史 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | プラテンシマイシン / 抗生物質 / 全合成 |
Research Abstract |
プラテンシマイシンはグラム陽性菌の脂肪酸生合成を強力に阻害する新規抗生物質として[β-ケトアシルACPシンターゼを選択的に阻害。IC_<50> 48nM(Staphylocccus aureus FabF)]、Streptmyces platensisの培養液から単離された。脂肪酸の生合成阻害という、細菌ではこれまでほとんど研究されてこなかった新しい作用機序を持つことから、メチシリン耐性菌やバンコマイシン耐性菌にも有用である。科学ジャーナリズムでも注目を集めた画期的な生物活性に加えて、その特異な縮環型式は有機合成化学的にも極めて挑戦的な構造である。筆者は、Diels-Alder反応を用いる簡明かつ誘導体合成にもフレキシブルな合成ルートを着想し、より効率的なプラテンシマイシンの全合成法の確立を目的として本研究を開始した。 文献既知のエポキシラクトンに対して位置選択的にニトリル部位を導入した後、ジエノフィルに導いた。ジエノフィルと高反応性ジエンとのDiels-Alder反応によりエノンを単一異性体で得ることができた。エノン部位のカルボニルをアセタールで保護した後、ラクトンの開環、Wittig反応での増炭などを経て、環化前駆体へと導いた。環化前駆体に対してGrubbs触媒を用いた閉環メタセシス反応により既知の骨格である環化体を合成することができた。環化体を塩酸酸性条件で処理すると、アセタールとTBS基の除去、分子内エーテル環化が一挙に進行し、プラテンシマイシンの全合成に向けての最重要中間体である四環性骨格を有する化合物が得られた。これまでの合成法と比較して高立体・位置選択的な合成に成功した。 また、今後は芳香環部分を導入することでプラテンシマイシンの全合成を達成できるものと考えている。
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Research Products
(1 results)