2008 Fiscal Year Annual Research Report
特筆すべき生物活性を有する超微量天然物の立体化学に関する合成化学的研究
Project/Area Number |
08J07423
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三浦 絢子 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | nigricanoside A / pinellic acid / 全合成 / 脂肪酸 / クロスメタセシス / malyngic acid |
Research Abstract |
Nigricanoside A(1)はタキソールと同様の機序により、ガン細胞の有糸分裂を強力に阻害するグリセロ糖脂質である。しかし、1は8年の歳月を費やして採取した緑藻Avraibvillea nigricans 28kgから0.8mgしか得られず、その立体化学は不明のまま残されている。本研究は、1の予想立体異性体の合成を行い、立体化学の解明及び大量合成を見据えた合成ルートの確立を目的としている。 まず1の側鎖脂肪酸部分と類似構造を有する生物活性物質(-)-pinellic acid(2)の合成研究に着手し、合成を達成した。即ち、Sharplessの不斉ジヒドロキシル化反応によりジオールフラグメントを調製し、Sharplessの速度論的光学分割(KR)によりアリルアルコールフラグメントを調製した。両者をGrubbs触媒によるクロスメタセシス(CM)反応によって連結させ、2を簡便かつ高立体選択的に合成した。 このルートでは立体選択的な合成が可能であるものの、分子内に複数の二重結合が存在する基質ではCM反応時の副反応の進行が懸念される。そこで、1の側鎖部分により近い構造を有する脂肪酸malyngic acid(3)を次の標的化合物とし、新たな合成ルートを検証した。 即ち、オキサゾリジノン誘導体に対し不斉アルキル化反応を行い、その後数工程を経てホスホネートへと導いた。このホスホネートと、前述のアリルアルコールより得られるアルデヒドを用いてHorner反応を行ったところ、3の炭素骨格を有するα-ヒドロキシエノンをE-選択的に得た。カルボニル基の還元は、α位の水酸基が無保護のものに対し無水CeCl_3を用いてLuche還元を行うことで、望むanti-ジオールを立体選択的に得る事が出来た。その後加水分解を行い、3の生成を確認した。現在、反応条件の最適化について検討中である。
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Research Products
(3 results)