2009 Fiscal Year Annual Research Report
特筆すべき生物活性を有する超微量天然物の立体化学に関する合成化学的研究
Project/Area Number |
08J07423
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三浦 絢子 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | nigricanoside A / malyngic acid / 全合成 / 不飽和脂肪酸 |
Research Abstract |
Nigricanoside A(1)はタキソールと同様の機序により、ガン細胞の有糸分裂を強力に阻害するグリセロ糖脂質である。しかし、1は8年の歳月を費やして採取した緑藻Avrainvillea nigricans 28kgから0.8mgしか得られず、その立体化学は不明のまま残されている。本研究は、1の予想立体異性体の合成を行い、立体化学の解明及び大量合成を見据えた合成ルートの確立を目的としている。 昨年度に引き続き、1の脂肪酸部分と類似構造を有するトリヒドロキシ不飽和脂肪酸malyngic acid(2)およびその12-epimer(3)の合成研究を行い、合成スキームにおける工程数の短工程化を試みた。まず、オキサゾリジノン誘導体に対し不斉アルキル化反応を行って得た中間体(4)から1工程でホスホネート(5)を導くこととし、4に対しジメチルメチルホスホネートのアニオンを作用させたところ、低収率ながら5を得ることができた。しかし、オキサゾリジノン環が開裂した副生成物(6)も得られたため、カウンターカチオンを変えることで副反応(オキサゾリジノン環の開裂)を抑制しようと考えた。そこで系内にLewis酸を添加して反応を行ったが、無反応もしくは副反応が進行するといった結果となった。そこで、4からエステルを導き、エステル交換反応によって5へ導くルートを検討した。チオールエステル(7)やメチルエステル(8)を経るルートでは良い結果が得られなかったが、4から2工程の変換を経てWeinrebアミド(9)を得、9に対してホスホネート化を行ったところ、望む5を収率よく得た。 次に最終物の精製について検討を行った。トリヒドロキシカルボン酸の状態では12-エピマー(3)との分離が困難であったため、9位の保護基(Piv基)を選択的にはずし、トリオールでの分離が可能であるかを試みた。しかし、Piv基の選択的脱保護は困難であり、さらなる検討が必要である。
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