2009 Fiscal Year Annual Research Report
暑熱ストレスが引き起こすROS過剰産生機構の解明とその制御法の開発
Project/Area Number |
08J07429
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
喜久里 基 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 暑熱 / ミトコンドリア / スーパーオキシド / 脱共役タンパク質 / 基質酸化 / 膜電位 / プロトンリーク / 肉用鶏 |
Research Abstract |
暑熱環境下における肉用鶏生産では、成長・肉質といった生産性が低下する。これまでの研究により、この低下には暑熱環境下で亢進する「酸化ストレス」が大きく関与すると考えられている。本研究の目的は、急性暑熱曝露にともなう(1)活性酸素種(ROS)産生メカニズムの解明と、(2)その栄養制御法の確立であり、計画の2年目にあたる本年度は、(1)を重点的に行った。 酸化ストレスは、ミトコンドリアにおいて過剰に産生されたスーパーオキシ(O_2^<・->)によって誘導され、このO_2^<・->産生量は、ATP合成に利用されるミトコンドリア膜電位(ΔΨ)に依存する。これまでに、暑熱環境下ではO_2^<・->が過剰に産生することが明らかにされており、前年度は、(1)O_2^<・->過剰産生がΔΨ上昇によってもたらされること、そして(2)ΔΨ上昇は、ΔΨ-生産者である「電子伝達鎖の基質酸化能の増加」および(3)ΔΨ-消費者である「avUCP介在型プロトンリーク反応の低下「が関与していることを明らかにした。 本年度の研究目的は、「タンパク質の多元解析によるミトコンドリアタンパク質分子の挙動の網羅的解析とその相互関連付け」であり、これを達成するため、まず遺伝子の網羅的解析(DNAマイクロアレイ)を行い、'電子伝達鎖の基質酸化能の増加'の原因となる候補分子のスクリーニングを行った。その結果、複合体Iに関連する遺伝子(NDUFS1、NDUFS4、NDUFA5、NDUFA7、NDUFA12、NDUFB2、NDUFV2)発現が、約35-85%低下していること、また複合体IIに関連する遺伝子(SDHD、SUCNR1)発現が、約80-150%増加していることが明らかとなった。本研究成果は、今後実施するタンパク質の網羅的解析を効率的に行う上で、重要なヒントを与えるものとなった。
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Research Products
(10 results)